上京OPENWEEK 2018

「つながり」が財産の住まいづくり

「つながり」が財産の住まいづくり

INTERVIEW ご協賛:株式会社デザオ建設

「つながり」が財産の住まいづくり

上京OPENWEEK2018ご協賛企業様の紹介と、OPENWEEKへの期待をお話いただきました。

株式会社デザオ建設様の場合

堀田 郁代(ほった いくよ)さん

株式会社デザオ建設

設計・インテリアコーディネーター・アドバイザー

関わる人の「LOVE」を大切に、新築、リフォーム、ショップなどの空間をプラン二ング、コーディネートを行う。8月にオープンした北野展示場「とこしえ」では、これまで一緒に仕事をした職人さんの、伝統的な技術を生かしたあしらいを随所に盛り込み、快適さの中に京都らしさを感じる空間を演出している。

きっかけは、伝統的な建物を使って地域を魅力的に見せていた「都ライト」

実行委員(以下、実)「この度はご協賛とイベント会場のご提供を頂き、ありがとうございました。不躾ではございますが、イベントにご協力頂けた決め手のようなものがあったのでしょうか」

堀田さん(以下、堀)

「きっかけは数年前にSNSで見た「都ライト」のイベントだったんです。伝統的な建物を使って、建物だけではなく、地域も魅力的に見せている。こんな素敵なイベントが当社のすぐ近くで行われているなんて知らなかったので、色々と調べていたんですね。そうすると、上京区役所の職員の方から、「都ライト」が同時開催イベントとして参加している「上京OPENWEEK」をご紹介頂いたんです。

 そこから、事務局の方から色々話を聞いて、当社の事業の核となる部分で共感できたのがイベント協力の決め手ですね。

 当社は「京都に生き続ける住まい」をコンセプトに、地域の伝統技法や知恵を次世代につなぐ「器」としての注文建築をつくっております。いくつもの建造物が集まり地域ができ、地域の暮らしの中から、知恵や技が生まれ、また建物をつくっていく。そのサイクルの中では地域との繋がりが重要だと感じております。

 事務局の方から話を伺うと、「上京OPENWEEK」は、上京区で活動している人が一丸となって、地域を盛り上げているとのことでしたので、当社が参加するのは自然な流れでした。その中で、さらに私たちが上京という街を意識し、深く知る機会になるのでは、と期待しております」

縁を大切に、繋がった方と一緒に価値あるものを後世に伝えたい

実)「事業のお話の中に出てきた、伝統的な技を後世に伝える、というのは具体的にどのように形にされているのでしょうか」

掘)「このモデルハウス「とこしえ」を例にしてお話させていただきます。「とこしえ」は、今年の8月に北野天満宮近くにオープンしたのですが、京町家の豊かな暮らしと現代のライフスタイルの利便性を「つなぐ」ことをコンセプトにしており、伝統的な手仕事のエッセンスを、とくに和室を中心に盛り込みました。

壁の腰張りや床の間の正面壁・さらに入り口の本襖、押入の唐紙襖・障子で表具屋さんの本来のお仕事をしっかり見て頂ける部屋にしようと。障子や襖はわざわざお願いすることはそう多くないのですが、いつもと違う凜とした雰囲気を造ってくれたと思います。

 また、つなぎの部分に化学的な溶剤をつかわず、土と藁と水だけの左官工事で施工された土壁。照明器具は、表具組合の方が京都府とコラボレーションして企画された折り紙のセードを使わせて頂きました。床の間の床框(とこがまち)には、漆に胡粉(ごふん)という貝殻から作られる白い顔料を混ぜた白漆を使っております。

 さらに襖に使っている唐紙のデザインは、照明にも同じものを採用し、違和感なく全体的が調和するように考えております。目立たせるのではなく、さりげなく、でも印象深く残るように形にしています。リモコン電波を通してくれる唐紙はリビングのテレビボードにも使用し, 素材がデザイン次第でモダンに見える形をご紹介しました。

 また、和室は、サイズ感も明るさも押さえめに仕上げ、電灯がなかった頃の日本の美の感覚、控えめな光を遊ぶような、しっとりと落ち着ける陰翳礼讃の感性を感じる空間づくりを意識しております」

 

実)「単に物を作る技だけでなく、現代以前の美の感覚が感じられる暮らしの知恵まで伝えようとされているんですね。和室には多くの職人さんが関わっておられるようですが、伝統的な技術を持った職人さんを探すのは大変ではなかったですか」

堀)「いえいえ、それが皆さん繋がっておられるので、他の現場でお願いした方に御相談し、ご紹介頂いて実現したことがとても多かったです。弊社の場合は長年京都でお仕事をさせて頂いているご縁で、お施主様の中にも既にご自分の技術や作品を現代の空間に活かす活動をされている職人のかたもおられまして、この「とこしえ」を契機にコラボレーションさせて頂いたものもございます。

 1Fトイレの手洗いの陶器ボウルと陶板は、清水焼団地で「丈夫窯(じょうぶがま)」を運営されている、お施主様でもある陶芸家加藤丈尋さんにお願いしました。 デザオ×丈夫窯のコラボ製品としてのボウルを実際に発注頂けるよう、ミニチュアでどんな色・形が可能か分かり易いサンプルや実物を展示し、陶板のオーダーにも応じて頂けます。 その他清水焼とパリのデザインを組み合わせ、建築資材として紹介されている商社さんもお施主様にいらっしゃって、カラフルな陶板を寝室のインテリアに採用させて頂きました。焼き物の面白いところでその美しさを手の中で愛でて頂けるようそれぞれ湯飲みやフリーカップとしてお客様にお使い頂いております

 

人と人との繋がりの中でこういった、今の生活に活きる伝統的な手仕事を感じる空間をご提案できるのは弊社ならではのお仕事かなと思っております

「とこしえ」では、地域・人・生活・伝統・技術などを、つなぐチャレンジをしたい

実)「まちづくりのイベントへ参加されたり、ギャラリーとして使用されたりと、「とこしえ」は、住宅展示場だけの機能におさまっていないように思うのですが、どういう思いで運用されるのでしょうか」

掘)「もちろん、モデルハウスとして利用して頂くことが一番です。ここでは、京都の土地・立地条件に応じて光や風の取り込み方を考え、新しい技術を融合させることで、地域の中で快適に過ごせる空間を提案しておりますので、ぜひ見て頂きたいです。

 特にご紹介したいのは、電気自動車を非常用電源として使う新しい電気のカタチです。

 近年、大規模な災害が日本各地で起きておりますが、そんな時でも安心して生活ができるような設備となっております。

 太陽光発電と電気自動車を連動して、長時間電気供給が可能なV2Hという蓄電池を利用すると、災害時でも、理論上は、2日間ほど電気に困らず生活ができます。停電になった際のデモ体験もできますので、設備の機能を実際に手にとって確かめて頂けます。災害対策を考えておられる方には、ぜひ、見ていただきたいです。

 このような新しいシステムも体験していただかないといけませんので、地域の方とのゆるやかな接点をつくることも考えて「とこしえ」はオープンしております。

 例えば、外構は、小さな雑木林をイメージして作りました。ベンチも用意しておりますので、ランニングの途中に休憩をしていただいたり、春には白梅も咲く予定ですので、小さな春を感じてもらう。上七軒の新しいシンボルになれば嬉しいですね。

 あとは、今回のようなワークショップの会場として使っていただいたり、ギャラリーとして利用していただく。これに関しては、レンタルスペースではございませんので、人と人との繋がりの中で、お互いにメリットがあるような状況が作れたら、行いたいと考えております。小さな企画をチャレンジしてみて、いままでとはひと味違うモデルハウスとして地域の方と関わりたいと考えております」

 


 

株式会社 デザオ建設

「京都に生き続ける住まい」をつくることをモットーに、50年以上地域の景観や、伝統を生かした住環境をつくり続ける。2018年8月には、快適さと利便性を追求しながら、清水焼や伝統的な左官技術などを住空間に溶け込ませる「デザオ建設」のエッセンスが詰め込まれた北野展示場「とこしえ」がオープン。「豊かさ」「心地よさ」「くつろぎ」「楽しみ」「やすらぎ」「夢」のある住まいが体感できるモデルハウスとなっている。

 

インタビュー会場:つなぐモデルハウス”とこしえ”

住所:〒602-8324

京都市上京区元観音町469

電話:075-463-1000

フリーダイヤル:0120-55-7255 

営業時間:10:00-18:00

定休日:水曜日

本社:京都市山科区西野櫃川町50-1

電話:075-594-0666

HP:https://www.dezao-reform.com/

 

インタビュアー:チン・ネイエン(上京OPENWEEK実行委員、立命館大学所属、NPO ANEWALGalleryインターン)